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近年日本人に肥満をはじめとする生活習慣病が急速に増えております。もともと日本人は遺伝子レベルで栄養を体に蓄えやすくなっており、飢餓に強い民族であったわけですが、飽食の時代である現在では、それがあだとなっているようです。 生活習慣病を放置することにより動脈硬化が起こり、心臓発作や脳卒中が起こります。そこで、健やかな毎日を過ごすために、生活習慣病予防の基本である食生活と運動習慣の見直しについて紹介させていただきます。 |
食生活の見直し |
食事には3つのバランスが必要です。
1つ目は食事のとり方のバランスです。
日本人の習慣として朝食は少なく、夕食をたくさん食べる傾向があるようです。しかし夜遅くたくさん食べると急激に血糖が上昇し、それが寝ている間に脂肪として体に蓄積されてしまいます。そこで、朝昼夕と均等に食べることが必要です。
2つ目は、栄養素のバランスです。
やみくもに食事制限をするだけでは栄養素が不足し、身体を壊してしまいます。食物を6つの基礎食品(たんぱく質である肉や魚、カルシウムの豊富な乳製品、ミネラルや食物繊維となる野菜、ビタミンの豊富な果物、エネルギー源となる米やパン、さらに油脂類)に分類し、1日のうちに少なくともどの群も食べるようにすることと、毎食、たんぱく質である主采、野菜を中心とした副采、米やパンなどの主食を食べるようにすることです。牛乳は1日に200cc、 果物も1日にみかんなら2個、大きいりんごなら半分というように、必要ではありますが、食べ過ぎは厳禁です。
3つ目はエネルギーの均衡です。
すなわち消費した分だけ食べるということです。消費エネルギーは個人差も大きく計算が難しいのですが、簡単に言えば毎日体重を測定し、体重が変わらないように食べることです。もちろん肥満のある人は、月に2kg程度を目安に減量していくことが必要です。
ところが忙しくてそんな細かいことは出来ないという人が多いので、ごく簡単な食事療法のポイントを書きます。朝昼夕均等に食べることと、間食や夜食は取らない。毎食必ず野菜を取る。出来れば噛み応えのあるような野菜を食事のはじめにバリバリ食べると、 満腹中枢が刺激されて、食べ過ぎを防ぎます。さらに時間をかけてゆっくり食べると、血糖の上昇も穏やかになり、身体への負担も少なくてすみます。その意味では塩分さえ控えめにすれば、野菜や海藻が多く、魚等食べるのに時間のかかる和食は、 生活習慣病予防のための理想的な食事と言えるかもしれません。 |
運動習慣の見直し |
運動療法について簡単に触れさせていただきます。運動によるカロリーの消費はごくわずかであり、その目的はむしろ、エネルギーを消費しやすい体質にすることにあります。すなわち生活習慣病予防のための運動は激しいものではなく、有酸素運動と呼ばれる、 ややきついかなと感じる程度の軽い運動を30分程度することです。それをコンスタントに続けることにより脂肪が燃えやすい体質となります。ただし今まで運動をあまりした事のなかった人が、突然運動をはじめると、膝を痛めたり、心臓発作を起こしたりして、 大変なことになることもあります。必ず運動療法をはじめる前には、内科や整形外科でメディカルチェックをされることをお勧めします。とりあえず運動という人には、ウォーキングがもっとも安全な運動かもしれません。忙しくてそれも無理という人には10分ぐらいの歩行でも効果はありますし、日常生活の中でこまめに身体を動かして、活動量をふやすだけでも効果はあります。 |
趣味や人付き合い |
最後になりましたが、健康な生活を送るためには、食生活や運動の他、休養や、ストレス発散となるような人付き合いや趣味を持つことが大切です。その日の疲れは睡眠等で翌日に残さず、生活リズムを規則正しくすることも重要です。忙しくめまぐるしい生活を強いられている現代人にとって、健康な生活をおくるためにはかなり労力が必要なのかもしれませんね。 |