● OSASに対する減量効果
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AHI(Apnea Hypopnea Index) : 1時間あたりの無呼吸・低呼吸の数 OSAS患者において、減量が有効であるのは疑いのない事実です。しかし、実際にはOSASを改善させるためには10kg単位の減量が必要なのです。
しかし、現状ではCPAP単独での減量効果には大きな期待はできず、食事・運動療法の専門的治療の強化が必要と言われています。 |
肥満症治療で最も有効なのは食事療法であり、代謝異常の改善に対しても高い効果が得られます。この食事療法の基本原理は、摂取総エネルギーを消費エネルギーよりも減らし、蛋白質・ビタミン・ミネラルは必要十分量を摂ることです。
通常、基礎代謝は1kg当たり1日24kcalとし、それに標準体重を掛け、次いで運動エネルギーを300kcal(軽度)または500kcal(中等度)加え維持エネルギーを求めます。
維持エネルギーの計算例 60×24 + 300 = 1740kcal |
維持エネルギーよりも少なければ低エネルギー食となります。では、何故低エネルギー食でも生きていけるのでしょうか?それは、蓄積脂肪のもつ潜在エネルギーを計算すると理解できます。
15kgの脂肪は何日生きられるエネルギーに相当するか? 1gの脂肪組織は7kcalで計算するので、例えば300gの脂肪は2100kcalのエネルギーを蓄えており、この2100kcalは大人の1日分の消費エネルギーを十分補うことができます。 15kgの過剰体重は 15000g/300g=50日分 のエネルギーを持っていることになります!! |
蛋白質は必須アミノ酸を含む動物性蛋白質(肉・魚・乳蛋白・卵白蛋白など)を十分(標準体重×1g=約60〜70g)摂らなければなりません。かつて絶食療法が行われ、筋肉の萎縮や心筋障害を起こし突然死もあったことからも、減量時には蛋白質を十分摂取することの重要性が実証されています。
ミネラル・ビタミンも十分に摂取する必要があります。骨軟化を抑制し、代謝を維持するためなどに必要な成分だからです。
ミネラルとしては、カルシウム、鉄、銅、マンガン、マグネシウムなどが微量ながら大切で、これらを含む野菜、特に葉物、色野菜が選ばれます。通常は1日100g摂る(大盛サラダ皿2杯)。
糖質・脂質はなるべく摂らないことが原則です。特に糖質は体内で中性脂肪に合成されるので、肥満治療ではまず減らさなければならないのです。糖質と脂質のバランスについては、低糖質食のほうが血糖の低下、インスリン分泌の減少、中性脂肪の低下、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールの増加など、好ましい糖・脂質代謝効果を持つことが示されています。
一般に肥満者では便秘傾向があります。
減量食では残渣の多いもの(ごぼう、にんじん、たけのこ)、かさの大きいもの(こんにゃく、きのこ)、有機酸含有食品繊維成分(酸っぱい果物、ヨーグルト)などを取り入れると良いでしょう。
一般食での蛋白質保持調整食選択時の注意点をご紹介します。
表 食品選択時の注意点 (東邦大学医学部付属佐倉病院 大野邦子)
1) 蛋白質、ビタミン、ミネラルを十分に摂る
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肥満者にありがちな食事の仕方 ・・・・ | 「早食い」 「まとめ食い」 「偏食」 「ながら食い」 |
さらに、食べている自覚がない場合も少なくありません。これらを改善するために、
1) 食をよく味わうこと 噛むことは脳に"食べた"という満足の信号を与えます。 一口ごとに20回噛む習慣をつけましょう。 2) 規則正しく食事時間を決めること 特に寝る前のまとめ食いは肥満の原因です。 活動開始に際して食べることが大切です。特に朝食は多めに摂り、夕食は減らす。寝る前の食事は禁止です。 3) まとめ買いの禁止 肥満者は、買い物時に一度に多くの食品を買う傾向があります。 冷蔵庫がいつもいっぱい詰まっているような状況は、見直さなければいけません。 |
それまで好きなように食べていた人がそれをやめることは、強い意志と努力を必要とします。それをフォローするために、まずは動機付けから開始します。食を改善し、体重を減らすことによってどのくらいのメリットがあるのかを理解してもらうのです。
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理想的なのは朝夕の体重変化をグラフにつけることです。
減量効果を視覚で理解することが重要なのです。過食の影響も目で理解できます。
経過を追って体重変動に関係する行事、旅行、精神状態、疲労度などを考えるようにしましょう。
肥満者は比較的適応性が悪く、人の言ったことを聞き入れることが苦手な傾向がある。日万社の性格として、好き嫌いも比較的強く、ストレスに弱いなど、減量治療にのりにくい特性もあるのです。
減量治療は長い目でみて、小さな目標を立て、できるだけ達成感を味わう機会を多くし、自身を持ってもらうように周囲から支援し続ける必要があります。
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